店主のいない金ペン堂の価値は
ペリカンM400を金ペン堂で買ってきました。
東京で万年筆を調整して販売している専門店は金ペン堂とフルハルターが有名です。
特にフルハルターはその人に合わせてペン先を研いでくれるとのことですが、残念ながらEFやFに研ぐことはできなくなったとのことでした。ということで、神保町にある金ペン堂にM400を買いに行ってきました。
お店は事前に調べていたとおり、非常に狭いです。万年筆専門の町の文房具屋さんという雰囲気(ボールペンもありました)。
店員さんは女性が2名。店主の奥さんらしき方と、その方より若い女性。ネットで調べるとよく出てくる、店主も息子さんもいませんでした。
試し書きは立ったままで
M400を買いたい旨を伝えると、試し書き用のM400を出してくれます。太さはBBで、立ったままでロルバーンのようなノートにいつもどおりに字を書くと、小さい字なのでEFが良いと言われます。もちろんそのつもりです。
試し書き用のEFを出してもらい書いたところ、ペリカンはEFでも太いと感じます。国産メーカーのEFよりも太いのは当たり前ですが、LAMYのEFよりも太い。
青縞のEFの中でもさらに細いものを探してもらい、「EFやや細め」と書かれたM400を出してもらいます。
今でも店主がペン先を調整している
1つのペンには1つのインクというポリシーから、商品のつけペン状態での試し書きはやってないようで、水でのつけペンで出してもらった万年筆の試し書きをさせてもらいます。
店主の体の調子が悪いことはネットで調べて知っていたため、今でも店主がペン先を調整しているのか聞いてみると、1本1本調整しているとのことです。水での試し書きでは細さはわからなかったものの、書き心地に違和感はなく、店主の調整済みを信じて購入することに。
今はウォーターマンのブルーブラックは勧めていない
インクは何を入れるか聞かれ、インク名が書かれた見本帳を見せられます。ブルーブラックが良いと言うと、以前はウォーターマンのブルーブラックを勧めていたが、品質が変わりフローが悪くなり、今はペリカンのエーデルシュタイン タンザナイトを勧めているとのこと。少し高いがどうするか聞かれ、タンザナイトに決めました。お店のボトルからインクの入れ方を教えてもらいながら入れてもらうとともに、1つ購入。本来なら2700円のところ、3万円以上の購入のサービスで750円にしてくれました。
書いてみると期待していたほど細くなく…。ただ、書き心地はスムースで問題ありません。フローはよく、たまにドッとインクが出てきます。
試し書きのときに、以下のようなアドバイスをもらいました。
- 力をかけて万年筆を持っている。自重だけで書くイメージで。
- もう少し大きい字の方が疲れにくい。
- 洗浄は半年に1回。ペン自体を一晩つけるのではなく、水が透明になるまで水を出し入れする。(デモンストレーターを使って教えてくれます)
- ペン先は上向きに持ち運ぶ。
- インクを補充するときは、ペンに残っているインクはボトルに戻さず捨てる。
注意書きの紙ももらいました。
何を重視するのかで購入店舗を決めるべき
ネットでよく見かける金ペン堂の特徴である、店主が書き癖を見抜いて、その人にあった万年筆を勧めてくれるというのは、店主がお店に立っていない今ではできないのだろうと感じました。その特徴がないと、金ペン堂は普通の町の文房具屋さんというイメージで、試し書きも立ったままなので、購買体験という点では青山の書斎館の方が上です。
金ペン堂では今でもペン先が調整されているので、書き心地という点ではハズレを引くことはかなり少ないのでしょう。ただ、つけペンでの字幅の確認ができないので、字幅が納得のいくものかどうかの判断は難しいです。私も思っていたよりも太いと感じています。
細かく使い方を教えてくれるという点は特に万年筆を使い慣れていない人には良いと思います。私自身、ペンを強く持っているという自覚はなかったため、新しい発見でした。自分の持ち方を万年筆に合わせるか、万年筆を自分の持ち方に合わせるか…悩ましいです。
定価で買うなら、調整されているため書き心地が良い可能性が高い金ペン堂か、調整はされていないもののつけペンで書き心地と字幅が確かめられる書斎館か、と思います。